昭和40~50年代に建てられた中層の大阪府営団地で、住人が敷地を勝手に占拠して菜園をつくる
ケースが相次ぎ、府が対応に苦慮している。日本人の住民もいるが、大半は中国人住民とみられ、
府は日本語と中国語で警告を記した看板を設置するなど対策を強化。一部の団地では撤去に応じ始めて
いるが、「空き地が放置されるのはもったいない」と居直る中国人も。府による強制撤去は費用負担の
問題などで難しく、粘り強く説得に当たらざるを得ないのが実情だ。
堺市南区の団地(45棟)で無許可の菜園が増え始めたのは約5年前。ウサギの飼育小屋までつくられ、
府が平成23年6月に行った実態調査で、149カ所の耕作地を確認。住民の目撃情報で、耕作者の
多くは中国人住民とみられることが判明した。
府住宅供給公社は看板や回覧板で「早急に元に戻してください」と警告。自治会も23年秋から
耕作者への説得を始めた。特定できた中国人約10人に接触し、当初は「日本語が分からない」と耳を
貸さなかったが、次第に種や苗の植え付けをやめるようになり、現在は数カ所に減少した。
一方で、撤去に応じない住民も。耕作を続ける中国人男性(65)は、中華料理に欠かせない
中国野菜やセロリを育てているといい、「日本で売っていない野菜を食べるために作っているだけだ」
と主張する。
自治会役員の男性(76)は「中国人なりの文化や考えがあるが、互いに話せば分かるもの。
継続した説得が必要だ」と話す。
一方、同区の別の団地(16棟)では、駐車場や空きスペースに菜園が点在。住民の男性(68)
によると、6年ほど前に約15カ所が出現、自治会が耕作者に注意したり、同公社が看板を設置したり
して対応してきた。
この結果、数件は耕作をやめて放置されているが、依然約10カ所でトマトやタマネギなどが
栽培されている。男性は「本格的な農作であり、行き過ぎだ。早急に撤去すべきだ」と話す。
両団地の自治会関係者によると、両団地とも入居世帯のおおむね1割が中国人世帯という。
府有地である団地内に個人が勝手に菜園や花壇を設置する行為は、入居者の募集案内などでも
禁じているが、府の担当者は「耕作者の特定が難しく、撤去を求めるのが困難なケースもある」と話す。
農作物や菜園を囲う柵は耕作者の所有物と考えられるため、「府が訴えられるリスクもあり、府側で
一方的に撤去できない」と明かす。
行政代執行の場合、強制的に排除する前に自主撤去を求める命令を出すが、公営住宅法や大阪府営
住宅条例に明確な根拠はない。排除費用の負担先も一概に決められず、「躊躇(ちゅうちょ)せざるを
得ないのが実情」という。
府によると、こうした菜園は、堺市のほかにも、四條畷市の府営団地で多数、東大阪市でも
3件確認されている。担当者は「いったん撤去されても、別の人が耕作する例もあると聞いている。
いたちごっこの状態だが、自治会などと連携して粘り強く撤去を求めていきたい」としている。
▽産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130630/waf13063010410002-n1.htm